有志が集まり、メサイアを全曲演奏いたしました。
無事終了!盛会!
ご来場頂いた皆さま、まことに有難うございました。
「メサイア」は全53曲、演奏時間が約2時間半に及ぶ大作です。
楽譜を持つ手がいよいよ限界を迎えようとする頃に「アーメン」で幕を閉じます。
抜粋では歌った事がありましたが、全曲歌ったのは今回が初めて。
とても良い経験になりました。
★★★
ここで少し、私とメサイアの深くはないが浅くもない関係について述べたいと思う。
私にとっての最初のメサイアは勿論「ハレルヤ」である。
中学2年生の時、校内の合唱コンクールでこの曲が選曲されたのだ。
私は当時、クラスに一人はいる「ピアノ少女」だった。
そのため、暗黙の了解か何かで自動的に伴奏を弾くことになった。
しかし、私は全く楽譜が読めなかった…。
というのも、私は絶対音感のため楽譜を読むより聴いた方が早く、
いつも先生に弾いてもらったのを見聴き暗譜して弾いていたのだ。
そんなわけで、高校に入学するまで「ド」しか読めないまま育ってしまった…。
担任の先生に何度も「楽譜が読めないから」と断りに行ったが、
「練習だけで良いから」「左手だけで良いから」と言いくるめられ、
結局、夏休み中はずっと涙目でメサイアの伴奏と向き合うことに。
それ以降、今回の演奏会に至るまで、メサイア=トラウマであった。
2度目の出会いは高校の定期演奏会。
毎年メサイアから抜粋で3曲歌うのが恒例行事だった。
ストッキングの上に靴下を重ね履きした名物先生によるご指導は、まるで革命家のような激しさで、
「For unto us a Child is born」では「フォー!」「ゥーワンッダッフォー!」と歌うよう指示された。
また、先生は「Glory to God in the highest」の"goodwill"を「グッ!ビー!」と力強く歌いながら
拳を天に掲げていた。どう見てもチェ・ゲバラだった。
前述の通り、私はすっかりメサイアがトラウマになっていたので、この手厚いご指導は大変苦痛であった。
その後、大学に入ってから有志でメサイアを演奏しようという話が出たが、予算の関係でボツに。
メサイアとはご縁の無い日々。
そんなある日、有村先生のお宅で1本のビデオを見せて頂いた。
何かと思ったら、なんと18年前にメサイアを演奏した時の映像だという。
「メサイア…」と若干滅入りつつも、先生があまりにも嬉しそうだったので
「間に合ってます」とは言えず、大人しく鑑賞。
すると、出演者の中に見慣れた顔がチラホラ。
なんと、私が普段お世話になっている人たち(の若かりし頃のお姿)であった。
しかもソリストで出てきたのは私の先輩であり、実力派ソプラノ歌手の山内房子さん。
さらに、アルトはもののけ姫でブレイクした米良美一さん。
テノールは今をときめくルーファス・ミュラー氏。
そして、オーケストラは古楽器界をリードするプロフェッショナルたち。
なんだこれは…凄すぎる。
本当に素晴らしい演奏で、自分が18年前その場に居なかったことを嘆くほどであった。
(といっても18年前では小学生だが…)
それ以来、私のメサイアへの苦手意識はすっかり消えうせてしまった。
「先生の指揮でメサイアを歌いたい」という欲求に心を支配され、
先生にネチネチと「メサイアやりましょうよ」と言い続ける日々が続いたほど。
そして今回、ついにメサイアを歌う機会に恵まれた。
18年前の再演のような形で、メンバーも前回とほぼ同じ。
そこに自分も参加している。これにはとても感慨深いものがあった。
ステージも客席も、有村先生をお慕いする人たちで満たされ、
とてもあたたかい雰囲気の演奏会であった。
素晴らしい仲間たちと感動を共有できたことを心から嬉しく思う。
…という訳で、みなさまお疲れ様でした(・o・)ノ
次は米寿のお祝いに「ヴェスプロ」をやるという噂。
8年も待てなくね?今すぐやりたいです。
※「ここで少し…」のくだりは、有村先生がパンフレットに書かれた文章をパロったものです。
今年の流行語大賞になるのではないかと、私の中で話題になっています。